迅速な治療をする救急看護師が抱える葛藤

救急医療は初期救急、第2次救急、第3次救急の3段階だ。重篤救急患者は第3次救急に回されるが、その前段階の初期救急と第2次救急には、緊急性の低い患者も多く運び込まれる。だから、雑用係のように思えて、理想と現実のギャップに苦しむ救急看護師もいる。高度救命に携わりたいのであれば、第3次救急医療機関に就くのが妥当なものの、初期救急や第2次救急医療機関で経験を積んでから転職の機会をうかがうのも一つの方法だ。だが、救急医療の現場は一般病棟よりも酷なことが多い。運び込まれてきたときには助けられない状態の患者も少なくないのだ。精神的なタフさも鍛える必要があるだろう。

それから、搬送されてくる患者は高齢者の割合が高く、認知症を患っていることも珍しくない。患者が皆重症である場合、混沌とした環境にあるから、認知症患者が混乱しやすい。中には、認知症患者の行動障害が事故を引き起こすのではないかと、冷や冷やしながら看護に当たる場合もある。また、治療をさせてもらえない患者もいる。
危険性を感じた場合はお互いの安全確保のために抑制を行うこともあるが、それが認知症患者を興奮させる要因となり、余計に症状を悪化させることもしばしばだ。そして、一人の認知症患者に付きっきりになってしまうと、他の患者に手が回らないという事態も引き起こされる。
救急医療においては迅速な治療が基本だが、患者の意思を尊重しにくい環境であることは否めない。患者第一になれないという葛藤は、多くの救急看護師に見られる感情である。